水素社会を実現する上で数々の問題点があります。クリーンなエネルギーとして注目を浴びています。日本のエネルギー事情としては、火力発電や原子力発電に頼っており、エネルギー効率は良いものの、同時に問題を抱えていることになります。
火力発電の場合は、化石燃料を使い続けること。石油は海外から輸入に頼っており、産油国の情勢によって高騰することもあり、いつかは枯渇してしまうものです。限りはあると言っても、代替エネルギー(オイルシェールやオリノコタール、シェールガスなど)は、数多く存在し、100年以上は安心できると言われています。
枯渇問題より環境問題の方が議論になることの方が多く、各国でCo2量を減らす方向に進んでいます。そのため、燃料を使った発電の割合を少なくし、クリーンな代替エネルギーに切り替えようとエネルギー戦略が練られています。
原子力発電は、東日本大震災の一件から地震大国である日本において、たくさんのリスクがあり、表には出てきませんが、汚染問題も抱えることになってしまいます。
日本としては、火力発電や原子力発電に変わる再生可能なクリーンエネルギー社会を作っていく必要があります。それが、水素社会といった基本戦略なのです。しかし、水素社会を実現するためには、かなりの問題が存在するのです。
水素エネルギーの原理。生み出されるのは三次エネルギー
水素エネルギーが生み出される原理を知っておく必要があります。自然界には水素単体では存在せず、別の元素と合わさって存在しています。水が良い例で、酸素と水素が結びついていますね。
水素をエネルギーとして利用するためには、分離させる必要があり、水であれば、電気を通すか超高温で熱することで、水素を取り出すことができます。
つまり、水素を得るためには別のエネルギーが必要であり、二次エネルギーではなく、三次エネルギーということになります。
水素エネルギーの矛盾!生産するために化石燃料を使う
水素エネルギーを生み出すためには、かなりのエネルギーを必要とする問題点があり、これを解決しなければなりません。発電所レベルのエネルギーを得るためには、それ相応のエネルギーが必要になります。
水素エネルギーを生み出すためには、様々な方法が考えられますが、現在では化石燃料を使って生み出す方法もあり、世に出てくる時にはクリーンになりますが、生産過程では決してクリーンとはいい難い場合もあります。
もちろん、生産過程においてクリーンエネルギーを使用している場合もあります。
車を動かす燃料電池の場合は?水素燃料を作る過程の問題点
水素社会を実現する上で、様々なところで使われるエネルギーを水素に変えていこうという取り組みがあります。Co2の排出量を削減するというのが目的ならば、自動車をクリーンなものに変えていこうという取り組みもあります。
電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)を増やし、排ガスを抑制することでトータルのCo2排出量を減らします。燃料電池自動車で使われるのが水素ガスです。トヨタ自動車の『ミライ』がそれにあたり、水素ステーションで充填できます。
燃料電池に利用される水素生成の原理としては、メタンガスを水蒸気改質法で、水素と一酸化炭素に分離させます。水の電気分解でも水素を精製している例もあるそうです。
メタンガスから生み出される一酸化炭素は、燃料電池を汚染する性質があるため、除去する仕組みを設けているはずです。しかし、燃料の水素を得る過程で、大気汚染に繋がる気体が生み出されているため、本当にクリーンなエネルギーなのかという問題点が裏に潜んでいます。
水素エネルギーはコストの問題も!保存するには液化水素?
水素エネルギーを実現するためには、コストの問題も解決しなくてはいけません。実用化、社会への浸透化を考えるならば、現在利用されているエネルギーと同等にしていく必要があります。
水素エネルギーを生み出すためにも、今ではまだ多くのコストがかかりますし、保存するためには、液化水素という形にする必要があるため、さらにコストがかかります。つまり、エネルギー利用するには保存が利き難いという問題も。
量が作れるようになれば、コストは下がっていきますが、エネルギー効率から考えるとそれ相応の量が必要になります。
水素社会を実現するためには、国の政策だけでなく、企業の努力も必要です。それ以上に、国民に受け入れられるような値段になる必要があります。
生活に余裕があるような状態であればまだしも、そうではありません。国民全体の所得を上げていく政策も忘れずに進めていただきたいですね。
まとめ
水素エネルギーや水素社会を実現するための問題点をまとめました。水素は、世の中には単体で存在せず、別の元素と合わさっています(水素化合物)。水素化合物から水素を切り離す必要があり、生み出すために別のエネルギーが必要になります。
水素エネルギーは二次エネルギーではなく、三次エネルギーということになります。エネルギー生産コストも下がりますし、効率も悪くなります。さらなる問題点としては、水素エネルギーを生み出すために、化石燃料を活用している話もあり、クリーンエネルギーとはいい難いかも知れません。燃料電池自動車(FCV)では、水素ガスを燃料としていますが、これを生み出すためにも一酸化炭素が作られてしまいます。
水素社会を実現させるためにも、数々の問題点を解決していく必要があります。