水素に関しての情報を収集すると、多くが水素エネルギーに関しての話題が多いです。再生可能エネルギーや未来エネルギーとも言われている水素エネルギーについて、まだわからないことが多いことでしょう。Co2(二酸化炭素)を排出しないことから、環境にとっても優しいと言われています。
さらに水の電気分解を上手く活用し、水素を発生させ、燃焼させることでエネルギーに変えることもできるのです。
もちろん、実現させるためには課題もありますし、安全性の疑問や爆発するといったネガティブなイメージを払拭する必要もあるでしょう。
今回は、水素エネルギー入門と題して、現在の位置とどのような社会を実現しようとしているのか。ロードマップを含めた内容をまとめました。
水素エネルギーの仕組み!作り方から使い道まで
日本の国策として、水素社会を実現するためにエネルギー分野での研究が盛んに行われています。小学校の理科の実験でも、水の電気分解の実験や生成した水素に火をつけて爆発させるといったことをやります。このことから、水素からエネルギーを生み出し、エンジンを回したり、発電したりと可能になります。
概要的な理屈は知っていたとしても、水素エネルギーの仕組みや作り方について、もう少し詳しく知っておきましょう。
そもそも水素ってなに?
水素という単語は誰もが知っています。しかし、水素がどういったものに含まれているかを考えている人や知っている人は少ないです。とても馴染みのある物質で、誰もが毎日のように接しているのです。
というのも宇宙全体の7割以上を占めるのが水素という物質です。太陽はもちろん、宇宙空間上で光っている星や惑星は、水素をエネルギーとして活用しているためであり、身近な食品も化学物質に置き換えると水素原子を見つけることができます。
人が食物からエネルギーを得るのは、水素を獲得するのと同じで、生きていくためには、必要な物質です。では、発電やエネルギーを生み出す場合、どのような仕組みが必要になるのでしょうか。
どうやって水素からエネルギーができるの?
水素をエネルギーとして活用する場合、空気中の酸素と一緒に燃やすことで可能になります。化石燃料のエネルギーと同じ様に燃やすことで、エネルギーを発生させます。前述した理科の実験では、水素に火をつけると「ポンッ」という音と共に爆発します。実験の場合では、水素が微量ということもあり、大きなエネルギーが発生したとはいい難いですが、この規模を大きくすれば可能だとわかるでしょう。
水素を活用した電池やバッテリーはすでに身近に溢れており、燃料自動車や家庭用の給湯器「エネファーム」、ニッケル水素電池など、生活に入り込んでいるのです。その他、液化水素を使用した燃料はロケットの打ち上げのために使われています。
基本的に燃やして熱エネルギーに変換しているか、水素から充電と放電、そして発電も行っているのです。エンジンと燃料電池の違いを以下にまとめておきます。
・水素→熱エネルギー→運動エネルギー(エンジンのタービンを回す場合)
・水素→電気(発電)(燃料電池の場合)
これを見るとなおさらわかりやすいですね。
現時点での発熱量や発電量は優れている?
水素社会が実現すれば、クリーンなエネルギーとして世界中に浸透していきます。では、実用可能なのか、発熱量や発電量など現段階はどうなのか知っていく必要があります。
水素発電における発熱量は、化石燃料に比べると3分の1程度と言われています。そして、水素は燃えるスピードも速く、化石燃料の7倍と言われています。
熱エネルギーを運動エネルギーに変えて、タービンを回して発電するというのであれば、火力発電所や原子力発電所の方が、発電量は優れていると言えます。単純に3分の1の発熱量がそのまま単純に換算されるなら、発電量も3分の1で、ロスも生まれることからもっと下がるでしょう。
なぜ水素社会が必要なのか
水素社会に向けて、課題は山積みですが、水素エネルギーは今後の日本にとって必要不可欠になっていきます。なぜ必要なのでしょうか。大きく分けると輸入に頼りきりな日本のエネルギー事情と環境汚染やCo2削減に関すること。あとは原子力発電所の大事故を防ぐためなど、理由は様々です。それぞれについて見ていきましょう。
日本のエネルギー事情
日本のエネルギー事情を考える上で、発電シェアの大半を占める、火力発電所。燃料を燃やすことで発電していくわけですが、石油や石炭などの化石燃料はほぼ輸入に頼っています。これらは有限な資源であるため、いつかは尽きてしまいます。
日本におけるエネルギー事情は、燃料をいかに確保するか。そして、日本国内で生み出せるように再生可能エネルギーを導入していくかになります。
太陽光発電や風力発電、水力発電など自然エネルギーもエコには変わりません。しかし、安定してエネルギーを供給し続けられるかといったら、不安定さは否めません。
日本国内で、エネルギーが安定的に生み出せるようになれば、輸入先の情勢によって起こり得る燃料不足のリスクを回避することができるようになります。
地球環境への配慮!Co2削減
地球環境の問題は、日本人だけではなく、世界中で議論されているところです。地球温暖化を防止するため、二酸化炭素の排出量を抑制していこうと各国ごとに目標値を定め、削減に動いています。
水素エネルギーは、燃やしても水になるだけで、二酸化炭素は排出しません。そのため、水素社会は日本のエネルギー事情を解決するだけでなく、国際的な環境問題のソリューションとも言えるのです。
将来への期待と実現に向けた課題や解決策
今、身近なところから浸透してきている水素エネルギーは、大掛かりな発電や水素社会を目指そうとすると課題はたくさんあります。燃料にするため、水素を液化する場合、-252.6℃と絶対零度に近い温度管理が必要となります。
気体のまま貯蔵しておくにしても、どこか逃げてしまうため、高圧水素ガスという方法で保存する必要もあります。高圧タンクを利用して保存するわけですが、350気圧や700気圧まで圧縮できるタンクが誕生し、一度に大量の水素を運ぶことが可能です。しかし、この方法では、タンクから水素が漏れることや爆発の危険性も高まります。そのため、タンクの耐久力や強度を上げていくといった研究もされています。
まだコストが高い水素エネルギーは、様々な方法で安くする解決策が模索されています。安全性に関しては当たり前の様に解決しながら、大量生産が可能になり、利用できる水素ステーションが増加すれば、コストの問題も解決していくでしょう。
水素エネルギーのメリット・デメリット
未来の日本に向けて、水素社会を実現するために様々な研究が行われているのは理解できたかと思います。次に、水素エネルギーのメリット・デメリットについて知っておきましょう。一部のメリットは今までからも推測できそうですね。
知らぬまま進んでいくより、理解しておく方が今後の社会の波に対応しやすくなります。
メリットから考える水素社会や水素エネルギー
水素エネルギーのメリットは、再生可能なクリーンなエネルギーであることです。燃やしたとしても、Co2は発生しません。地球に住む我々にとって、これはとても大きなことで、地球環境をいたわることができます。
また日本国内でエネルギーを生成することができるため、輸入に頼ることがなくなります。外国に落ちていたお金が、国内企業に落ちるのは、経済活性の側面もエネルギー不足のリスクもどちらも解決できるのです。
水素社会実現に向けて、経済産業省の資源エネルギー庁が先陣をきって動いています。つまり、国主導の新たな産業として仕事が生まれているというのもメリットと言えます。しかし、参入障壁が高いため、新規事業として選択できるかは難しいですが、今まで研究してきた会社にとっては嬉しいことのはずです。
逆にデメリットは?危険性なども考える
逆にデメリットはどういったことがあげられるのでしょうか。自然エネルギーと違って、貯蔵することは可能です。しかし、貯蔵するための液化水素や高圧水素ガスは、保存や輸送にコストがかかるということです。実用化に向けて割高になるとビジネスとしては成り立ちづらくなります。どんなに環境に良いエネルギーだからといって、そのコストが我々市民に上乗せされる場合、反発が生まれます。
また、水素エネルギーの発熱量は他に比べて少なく、燃え広がりも早いため、危険性が高まることもデメリットです。
コストと安全性に関して解決できれば、社会に受け入れられるようになっていくでしょう。
メリット・デメリットから水素社会は実現遠い?
水素燃料のメリットからは、日本にとって必要なエネルギー源ということ、そして、デメリットからは、コストと安全性がクリアになれば、徐々に解決していくでしょう。
政府が描いているロードマップは、ここ数年で実現する話ではありません。むしろ、2020年のオリンピック後の産業としては注目しており、活発になってくれば景気向上へ寄与してくれるはずです。会議やサミット、セミナーなどで討論を重ねており、やがて課題は解決に向かっていくでしょう。
まとめ
水素エネルギーの基礎的なことから、日本のエネルギー事情。背景に関して知ることができました。輸入に偏りがちな日本のエネルギー事情から、水素社会は日本全体の問題とも言えるでしょう。
水素エネルギーにはメリット・デメリットがあります。メリットの多くは地球環境に配慮したこととエネルギー不足のリスクを補うこと。デメリットは、コストの問題や安全性に焦点があたります。水素は取扱いに難しい物質で、爆発や大事故に繋がる危険性があります。
徐々に水素社会実現に向けての課題は解決していくかと思います。明るい未来のために、水素に関しての理解を深め、エネルギー分野の動向も知っておきましょう。