水素業界にまたひとつ新しい話題が誕生しました。整水器大手の日本トリムと東北大学による研究発表で、『水素を付加した血液透析療法「電解水透析」が透析患者の死亡数と死因の主原因となる合併症の抑制を示唆する』という内容のものです。
通常透析と比べ、41%抑制されたことがデータとして確認されたそうです。
水素の医療分野の利用は、今に始まったものではなくかなり昔から研究されています。今回の臨床実験は、2011年から5年間もの間、実施したもので、件数も患者309名を対象にしたデータです。
世間一般の中で、水素というとまだまだ怪しいものと思われ、さらには各企業の不正によって信用できないという声も一部では聞こえます。
このような明るい話題がたくさん出てくることで、水素の効果効能や健康利用だけでなく、知識の認知も増えていけたらと考えています。
今回は、本レポートに関して考察してみます。
分子状水素溶存血液透析液を使用した新たな透析法
今回の共同研究論文は、『英国科学誌Scientific Reports 8, Article number: 254 (2018)』に掲載されたもので、オープンアクセス論文ということで、誰でもご覧いただけます。英語サイトなので、読める方や翻訳機能を上手く使って読んでください。
また、東北大学からも『慢性透析患者の生存期間を改善する新規透析法』というプレスリリースが出ていますので、参考にどうぞ。以下は、東北医大のプレスリリースからの抜粋です。
電解水も用いた研究プレスリリース抜粋
●共同研究関係者
国立大学法人東北大学 慢性腎臓病透析治療共同研究部門 特任教授
聖路加国際大学・聖路加国際病院 腎センター長・腎臓内科部長 中山昌明氏●研究概要 試験対象および方法
国内7施設の慢性血液透析患者を対象に、患者は非盲検オープンスタイルでそれぞれの治療法に割り付けられ、死亡および心血管合併症(うっ血性心不全、虚血性心疾患、脳卒中、虚血による下肢切断)といったイベントの発生を測定結果とし、5年間の臨床経過が観察されました(「電解水」透析群161例、通常透析群148例)。
●研究結果
透析自体の臨床的効果・安全性に両群間に違いは見られませんでしたが、「電解水」透析群では透析後の高血圧の改善、必要な1日あたりの降圧薬投与量の減量が観察されました。平均観察期間3.28 年の間に、91件のイベントの発生が確認(「電解水」透析群41件、通常透析群50件)。
この結果に対し、「電解水」血液透析は結果に影響する独立した要因であることが統計的手法によって確認されました。「電解水」透析群では通常透析群に比較して41%低いという結果であり、「電解水」血液透析は、慢性透析患者の心血管病を抑制し、患者予後を改善する可能性が示されました。
従来の血液透析療法が抱える高い死亡率や心血管合併症の発生に対して、「電解水」透析が新たな解決手段となる可能性が示されました。
医療研究の背景は透析の合併症抑制だけでなく国の医療費の削減
国内の透析患者数は30万人以上といわれ、さらに年々と増え続けています。その結果、国の医療費は増大し、問題とされています。
そして一般的に透析患者の年間死亡率は約10%と悪く、その主たる原因は心血管合併症と考えられています。合併症の原因は、透析中に起こる体内の酸化ストレスと炎症が関わっているといわれ、安全に抑制ために、今回の分子状水素を豊富に含んだ電解水を用いることで、透析患者の重篤な合併症が抑制された他、従来の方法と比べて41%下がったのです。
一度透析を行うと、それが長い間続きます。身体は徐々に蝕まれ、健康を取り戻すのが困難です。それは医療費が膨らむことと同義で、上手く活用され、医療費削減につながれば幸いです。
あらためて期待される水素の効果効能
水素の炎症を抑制する効果や酸化ストレスを低減する効果は、昔から伝えられてきました。あらためて、水素に対する期待が膨らんだといったところでしょうか。
電解水を医療に利用することは、様々な症例において応用されていますが、私たち一般消費者においては、どのように水素系の商品を選択すれば良いか、理解しておく必要があります。
水素の効果を得るには長期間恩恵を受ける必要あり
今回の研究で使用したのは、電解水で、いわゆる水素飽和水にあたると考えられます。水素が飽和した場合、約1.6ppmという値だと思われます。実際この値は理論値とされるため、もう少し低い値だと思います。
血液透析の場合、水素を長期間にわたって体内に流し続けるといった、長い時間恩恵を受けたから、抑制された可能性が高く、水素水を1回飲んだからといって、改善されるわけではありません。
健康のために水素水や水素サプリ、水素吸入器などを利用したいと思っている方は、たくさんいらっしゃいます。数回使っただけで、効果がないと騒いでいる方もいらっしゃいますが、そもそも前提が違います。
効果がないと、いわれている水素水も毎日飲み続け(しっかりと水素が入っていることが前提)、少しでも多く体内に取り込んでいくことが大事です。
そう考えると、体内に水素を発生させる機能を一時的に持たせる水素サプリの方が、長期間水素の恩恵が受けられるため、お手軽で良いかもしれません。
水素生活を行う場合、自分のライフスタイルから考える
水素を生活に取り込む場合、無理なく継続できる方法を考えると一番良いです。昨年、話題になった水素吸入器は、とても便利なアイテムですが、忙しく動き回る働き盛りの世代には生活に取り込みにくいなとも思えますし、水素バーのようなサロンにも、面倒になり足を運びにくくなります。
自分自身がどれが一番続けやすいかをしっかり考え、身体の炎症や酸化ストレスと戦いたいですね。
まとめ
整水器大手の日本トリムと東北大学の共同研究発表『水素を付加した血液透析療法「電解水透析」が透析患者の死亡数と死因の主原因となる合併症の抑制を示唆する』に関して、内容のまとめと考察をいたしました。
水素の医療分野への利用は、今後とも期待されるところで、水素エネルギーと同じように楽しみなジャンルでもあります。
水素が飽和状態の電解水を用いた血液透析を行うことで、通常の透析方法に比べ、約41%も合併症や重篤になる確率を下げたというもの。血液透析を行う時に、酸化ストレスや炎症を引き起こしていたものを水素の効果で抑えたと考えられます。
医療の分野で効果が実証される、水素のチカラを普段から健康利用に転用し、上手く恩恵を得たいところですね。そのためにも、できるだけ長く、水素と触れ合える時間を作りたいですね。