ハイドロエッグ水素パウダーという「粉末の水素水」というコンセプトの商品が発売されました。販売会社は、以前にも懐疑的な水素水を出した奥長良川名水株式会社です。ちなみに、製造者はアピ株式会社。岐阜の地域では大手の健康食品製造会社で、アピ株式会社が手がけている商品は数多くあります。
ハイドロエッグ水素パウダーをネットで調べてみると否定的な意見や懐疑的な見られ方が多いです。発売当初から売れ行きは好調をキープしているようですが、ハイドロエッグ水素パウダーは、安全な商品なのでしょうか。
水素専門のライターが、徹底的に調べてみました。水素という物質の健康利用や医療分野での利用は、徐々に増えてきています。しかし、水素を発生させる商品のすべてが良いとは限りません。
水素の知識を増やしたい方や本物を探している方にとって、有益な情報になればと思います。
ハイドロエッグ水素パウダーはマグネシウムによる化学反応?
ハイドロエッグ水素パウダーの原材料を見てみると、どのような設計で水素が発生するかがわかります。
ハイドロエッグ水素パウダーの原材料
ブドウ糖(国内製造)、難消化性デキストリン、マルトース
二酸化ケイ素、水酸化カリウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、L-トリプトファン、L-グルタミン
分類としては「粉末清涼飲料」で、健康食品ではありません。1包あたり3gなので、サプリメントに比べると多い内容量です。とはいえ、食品にあたるブドウ糖、難消化性デキストリン、マルトース(麦芽糖)の割合とそれ以外の配合比はわかりませんが、栄養成分表示から推測できます。
ハイドロエッグ水素パウダーの栄養成分表示
エネルギー:10.7kcal
炭水化物:2.7g
たんぱく質:0.0g
脂質:0.0g
食塩相当量:0.0g
炭水化物が、2.7gとなっているため、ブドウ糖、難消化性デキストリン、マルトース合わせて2.7gと思われます。
つまり、1包あたり0.3gが残りの食品添加物になります。水素が発生するための成分も、その中に入っています。
L-トリプトファンとL-グルタミンは、アミノ酸の一種で、水素発生とは関係ありません。残りの化学物質(二酸化ケイ素、水素化カリウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム)のいずれかが水素発生の要因と考えられます。
えっ?!本当に水素発生するの?
二酸化ケイ素(SiO2)=シリカは、水素発生はしません。水酸化カリウム(KOH)は、苛性カリとも呼ばれており、水との反応で水素の発生はしません。
塩化マグネシウム(MgCl2)は、にがりとして豆腐作りにも使われる成分ですが、水素を発生させる物質ではありません。酸化マグネシウム(MgO)は、医薬品としても活用される下剤の役割で、腸管内で水分の吸収を高めます。ただし、水素は発生しません。
特許は水素水のもの。水素パウダーは完全に別
化学物質単体で見てみると、どれも水素は発生しません。メーカーが取得している(掲載されている)特許技術を調べてみると水素水に関することです。
特許技術:第4696178号は、水素含有水の製造方法
上記の様になっています。水素水の方は、本当に水素が残り続けているのかは不明ですが、その技術をパウダー化に成功したといっても、おそらく無理があります。水素水の方の特許技術は、以下のように公開情報として掲載しています。
【課題】
ペットボトルに充填しても、該ペットボトルから水素がほとんど抜け出ることのないペットボトルに充填可能な飲用水素水の製造方法を提供する。【解決手段】
炭酸カルシウム、水酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムと精製水とを混合して白濁分散液を調製すると共に、該白濁分散液にリン酸と精製水を混合したリン酸水溶液を添加混合して得られた混合溶液に、クエン酸と精製水を混合したクエン酸水溶液を添加混合してコロイド状の酸性水溶液とする一方、該酸性水溶液に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび精製水を混合して得られたアルカリ水溶液とを混合して、PHが5〜8の範囲である混合溶液を製造し、更に前記混合溶液を、陰極水の酸化還元電位が−500mV以下になるまで電気分解して水素水原液を製造した後、該水素水原液をミネラルウォーターで80~120倍希釈する。
引用:Patentfield
【課題】
自然放置しても水中の水素が散逸して経時的に水素濃度が低下しにくい水素含有水を提供する。
【解決手段】水素含有水の製造方法。
(1)ヒドロキシアパタイトの酸性水溶液を製造する工程。
(2)工程(1)で製造した酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、pHが5〜8の範囲である分散液を製造する工程。
(3)工程(2)で製造した分散液において水の電気分解を行うことで水素含有水を得る工程を含む。
引用:Patentfield
水素水を作る工程でかなり手を加えています。水素が抜けずに維持し続けたとしても、単純な化学物質の複合から考えると、水素サプリや水素入浴剤に使われるような、いわゆる水素発泡剤と同様な設計と考えられます。
もちろん、独自技術で作られていることも考えられます。今後、実際にハイドロエッグ水素パウダーを入手して検査してみますので、お楽しみしていてください。
金属の化学反応による水素発生は変化が怖い!人体への影響も
一般的に化学物質の金属反応による水素発生のメカニズムは、膨大な量の水素を発生させます。ただし、長時間発生し続けるためには、それに見合った設計が必要になりますが、基本的に化学反応は急速に行われます。
48時間以上にわたり水素が発生し続けるかは、公表されているデータのみの確認となってしまいますが不明です。このあたりも実験してみたいと考えていますのでお待ちください。
しかし、金属の化学反応のよる水素発生は、水素単体のみを見ると良さそうに思えます。水素が発生し終わった物質はどうなのでしょうか。マグネシウムを活用した水素反応の場合は、別の物質に生まれ変わります(ラジカルリターン)。その物質の研究はあまり行われておらず、似たような研究をしている方のデータでは、DNAを損傷させる可能性があると報告もあります。
排泄するから大丈夫と考えている方もいるかも知れませんが、体内に蓄積することも考えると怖いですね。
ハイドロエッグ水素パウダーが同様のものかはわかりませんが、注意しながら使い続けた方が良いです。
もし、身体に副作用が現れるようなら、直ちに使用を止めてください。
個別包装の問題!保存状態によっては、水素が先に発生してしまう?
ハイドロエッグ水素パウダーが個別包装になっていることも気になります。実際の商品を見ているわけではありませんが、パウダーを個包装にする際、おそらく空気が入ります。
空気が入るということは、空気中の水分と反応する可能性もあります。長く放置した場合、袋がパンパンに張ることもあるでしょう。その場合、水素ガスが発生していると考えられるので、品質は劣りますが、水素が発生すると思って安心するのも良いでしょう。
まとめ
ハイドロエッグ水素パウダーについて考察していきました。商品設計上、水素が発生する可能性は低いようにも思えます。理由としては、成分一つひとつを見た時、水と反応して水素が発生すると思えないからです。
複合的に様々な成分を入れることで、新たな水素発生メカニズムを開発したのかもしれません。
なお、上記のメカニズムは、ユーザーにとってあまり関係はありません。単純に水素がどれくらい発生するか。もしくは、期待する効果が得られるかです。
ハイドロエッグ水素パウダーの公式が発表している数字と同等になるかはわかりません。今後、実験する可能性も高いため、しばらくお待ちください。
なお、私であれば、このタイプの水素パウダーは使わずに、サプリメントや吸引を併用して水素を取得していくでしょう。