【論文紹介】筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に対する水素ガス吸入療法の症例報告

水素に関する研究論文は増え続けています。

そこで、水素にまつわる研究レポートを紹介し、水素にまつわる認識をアップデートしていこうというのが目的です。

医療に関する内容でもあり、繊細な判断をする必要があります。

本記事で紹介する内容は、特定の商品を指すのではなく、水素自体の力や特性だと思っていただくと良いでしょう。

もちろん、人体に対する作用は、その人の状態や体質によっても変わってきます。同じ症状に悩まされているから、単純に導入すれば治るといったような安易な考えはやめてください。

水素に対する知識をきっちり深め、選択肢のひとつとして、ポジティブに考えられるようになれば幸いです。

今回、紹介する論文は『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に対する水素ガス吸入療法の症例報告』です。

MiZ株式会社は、慶應義塾大学の武藤佳恭名誉教授と共同で発表した『水素ガスを用いて筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の治療に成功した事例:4 名の症例報告』と題した論文がベースになります。

英文タイトル:
『Successful Treatment of Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome Using the Hydrogen Gas: A Case Report in Four Patients』

タイトル和訳: 水素ガスを用いて筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の治療に成功した事例:4 名の症例報告

著者名:平野伸一、市川祐介、佐藤文平、武藤佳恭、佐藤文武

論文掲載年月日:2023年10月24日

掲載誌:Medical Gas Research(メディカル・ガス・リサーチ)のオンライン版

論文URL:
https://journals.lww.com/mgar/fulltext/2024/14020/successful_treatment_of_myalgic.7.aspx

論文の要約

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、強度の疲労感を覚えつつ、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感、思考力低下などが持続する原因不明の病気です。

現代の医療では、有効な治療法が見つかっていません。

論文の著者は、水素ガスを用いた吸入療法を行い、どのような効果や改善が得られるかを症例研究として発表したものです。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の患者4名に対し、水素ガス療法を行ったところ、ブレインフォグや疲労、労作(運動)からの回復時間、頭痛、集中力低下、睡眠障害などの症状に対し、改善が示されたというものです。

水素ガス療法の詳細と結果

【患者Aへの水素ガス療法詳細】
・6~7%の水素濃度
・毎分2リットル発生
・毎日3~5時間の吸入
・20週間の実施

◯改善結果:
労作後疲労、労作からの回復時間、労作時の息切れ、頭痛、喉の痛み、集中力低下、体温異常、音に対する過敏性が著しく改善

【患者B、C、Dへの水素ガス療法詳細】
・6~7%の水素濃度
・毎分2リットル発生
・毎日3~5時間の吸入
・8~9週間の実施

◯改善結果:
頭痛、全身痛、睡眠障害、便通、意欲の低下、ブレインフォグなどが改善

課題と展望

本症例研究の課題として、第一に挙げられるのは、4件という症例の少なさです。また、患者さんの自己評価に基づく内容でもあるため、客観的な視点が乏しい点も課題として残ります。

また、無作為化比較試験ではないため、得られたデータには限界があるものの、水素ガス療法が筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)への改善法のひとつとして選択肢としてなり得ることが見えてきました。

治療方法として確立することや水素ガス療法の有用性を決定づけるには大規模の臨床研究が必要ですし、本論文でもそのようにまとめられています。

今後の課題としては残りますが、同様の症状で悩まれている方にとっては、明るい話題と言えるでしょう。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の推定患者数や治療法の現状

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群は、日本でも8万~24万人が悩んでいると言われ、アメリカではもっと多く、84万~250万人の患者数と言われています。潜在的に同様の症状に悩まされている方は、もっと多いでしょう。

現段階では、抗体医薬「リツキシマブ」を用いた臨床実験は、有効性を確認できません。また、ミトコンドリア機能障害に対する保護効果のある物質(NADH、コエンザイムQ10、L-カルニチンなど)の臨床試験でも、ある一定の効果は示すものの、限定的というものでした。

そのため、根治療法となる治療法や薬などの開発が望まれていました。

新型コロナウィルス感染症の「後遺症」と水素ガス療法

国内での患者数が8万~24万人と言われている筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)ですが、新型コロナウイルスの「後遺症」もME/CFSが発症するケースもあるそうです。

後遺症として報告されている症状は様々ですので、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)のみが症状として出るわけではありません。さらに、新型コロナウイルスの感染が、ME/CFS発症の原因とは考えらてはいなかったようです。

チェコで最近行われた、新型コロナウイルス感染症50名の患者さんを対象とした単盲検無作為化試験では、14日間の水素ガス吸入試験では、急性期の身体機能と呼吸機能が改善することが報告されました。

水素ガス療法の有用性が示唆される結果となりました。

専門用語解説

本記事で出てきた専門用語の一部を解説します。

ブレインフォグ

頭の中が、モヤや霧がかかったようにぼんやりしてしまい、物事が思い出せない状態。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)や新型コロナウイルスの後遺症でも症状が見られる。

ミトコンドリア

真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自の DNA を持ち、分裂および増殖する。ミトコンドリアのDNAは、ATP合成(エネルギー合成)以外の生命現象にも関与する他、酸素呼吸の場として知られている。

単盲検無作為化試験

治療効果や有効性を確かめるための比較試験の一種で、一般には、医師側は知っていて患者側のみ治療薬の中身を知らされずに行われる試験手法である(逆もあり得る)。

無作為化比較試験

患者を偽薬群と本物群などの 2 つ以上のグループ
に無作為(ランダム)に分け、治療薬などの効果を検証する試験方法。医師側も患者側も治療薬の中身を知らされずに行われる方法による試験(二重盲検法による無作為化比較試験)が試験結果のエビデンスレベルが高い試験となる。

まとめ

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の水素ガス療法に関する症例の論文紹介とその内容について解説していきました。

現段階では、効果的な治療法が確立されておらず、症状を抱えている方にとってはなんとかしたい病気でした。論文での症例数は少なく、研究としても乏しい側面はありますが、水素ガスが有用の可能性があるということはわかってきました。

また、ME/CFSと診断されてなくても、微ブレインフォグや微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感、思考力低下などが持続する症状が続いている方は、水素ガスを継続的に吸い続けることによって、改善する可能性も考えられますね。

水素ガス療法を行う上で重要なのは、濃度はもちろん、摂取量(水素吸入器が持つ発生量と吸入時間)と継続する力です。1回吸ったからといって改善するわけではありませんので、身体の状態を見ながら、続けられる状況を作り出すことをおすすめします。

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