健康博覧会で気になる商品が出てたので、入手したものをようやく実験しました。その名も「火のつく高濃度 水素水」。中学生の頃、水の電気分解を行い、水素に火をつけたら音を立てて小さな爆発が起こりました。それを想起させる水素水メーカーです。水素の原材料に詳しい方に聞いたら、この商品は「間違いなく火がつきますよ!理屈的には水素が発生する金属をそのまま水に入れるようなものなので。しかし、作られた水素水に関して、安全かどうかは別ですが。」とのこと。
この「火のつく高濃度 水素水」で作られた水の成分までは分析できませんが、実際に火はつくのか。作られた水の味はどうなのか。色々気になったので、実験してみました。
思った以上に溶け込んでいない水素量
「火のつく高濃度 水素水」を使った、水素水の作り方は簡単。パックを濡らして、ペットボトルなどの水に入れて、1時間ほど時間を起き、水素水ができあがるというもの。
パックを濡らす……という行程は、完全に見落としていたので、そのまま入れてしまいました。問題があるかと言ったらそうでもなく、濡らしていた方が水と馴染みやすいだけに思える。
1時間経過して、ライターで火をつけてみたところ、一瞬だけ燃えた。ずっと火がつき続けるのかと思ったところ、全くそうじゃなかったのである意味期待はずれ。
濃度は……市販されている有料の水素水以下?!
水素水に関する問題は、議論が尽きませんが、水素マガジンで測定したことのある水素水の溶存水素濃度の値がおおよそ合っている商品(0.7ppm~1.2)と比べると弱かったりします。検査測定する機器が、正常に働いているのかといったら、難しいものを利用しているので、正確には測れません。しかし、同一の測定器を使用しているため、比較することはできます。
火のつく高濃度 水素水を2つほど入れて、1時間程度経過した後、測定してみたら、溶存水素計は111ppb(0.1ppm)、酸化還元電位が-74mVと数値も水素水として期待できる内容ではなかったです。また、溶存水素試薬Mizを使用したところ、1滴で色が変わってしまったので、1時間程度では水の中に水素が溶け込まないというのがわかりました。イソジンを使用した実験でも、一瞬透明になりますが、さらに追加すると黄色くなり、溶存水素がすぐに使われてしまうことがわかります。
火のつく高濃度 水素水を入れると水が白く濁るけれど……
火のつく高濃度 水素水を入れると、水の状態も変わるようです。まず、無色透明の色が白く濁ってしまいます。この濁りは、亜硫酸カルシウムが、他の石や金属と接触することで粉末化してしまうかららしいです。説明書には必須栄養素だから大丈夫と書いてありますが、本当に大丈夫なんでしょうか?
他にも、珪素溶出セラミックボールやマグネシウム粒子、抗菌石、ショートトルマリンブラック、寒水薬石が入っています。水素を出すのは、マグネシウム粒子で、かなり強く反応するので大量の水素を放出しますが、水素サプリの原料の知識をここに照らし合わせると水素を放出した後のマグネシウムは、別の物質に変わってしまい、それが人体に対して何かしらの悪影響を及ぼす可能性があるため、口の中に入れるものとしては、あまりおすすめできません。
ちなみに水素サーバーや浄水器などは、「火のつく高濃度 水素水」と同じような仕組みで綺麗な水を作っているという話もあります。これでは、白く濁った水ができあがりましたが、水素水サーバーでは、しっかりとしたフィルターが除去してくれるため、より飲みやすい味わいを産み出しています。
1時間では水素量も少なかったので2日間は置いてみた。……すると
1時間程度では水素量も少なく、水素水と名乗るのには少々疑問です。2日間置いてみることにしました。かなり強い濃度の水素水が中に入っているように感じました。
ペットボトルのキャップを開けてみた途端、中の水が吹き出てきました。この現象にかなり驚きを覚えました。2日前は、水をすりきりくらいまで入れたわけではなく、市販で売られているくらいの水の量(注ぎ口上部には空気のたまり)だったはずです。それが、実のところ、溢れ出てきたのは「水の量が増えた?」「体積が変わった?」「水分子が違う物質になった?」など、様々な憶測が脳裏をよぎりました。
さらにびっくりすることは、水素水パックをペットボトルに入れた時は、金属の重みで沈んでいたのに、2日経過したら、浮いているではありませんか……。考えられるのは、水の比重が重くなったこと。もしくは、水素水パックの中身が水と反応して軽くなってしまったことです。これらは、目の当たりにした内容からの憶測ですが、かなり不思議なことが起きていることは間違いないです。
2日間で水素濃度もアップ!しかし数値はやはり……
ペットボトルの蓋を開けた瞬間、水が吹き出てきたということもあり、水素濃度はかなりアップしているんじゃないかと期待できました。今まで、水素水の中では出会ったことのない、溶存水素計で1.6ppmまで、出るのでしょうか?酸化還元電位も-420mV近くまで行くのでしょうか?
溶存水素計では、658ppb(0.6ppm)、酸化還元電位は-270mVと、これでも一般的な水素水より水素濃度が低いようです。酸化還元電位の値は、ある程度いいレベルまで下がっていると考えられますが、これだけ鉱物が入っている水なので、水素以外の作用もあるのではないかと考えられます。
2日間発生させ続けた水素水を飲んでみた。気になる味は……
2日間発生させ続け、できあがった水素水を飲んでみました。清涼感は一切なく、鉱物の味が強くなったような風味でした。きっと溶け出したカルシウムの味だと思いますが、これを飲み続けて、普通の水が欲しくなりました。2日間も常温で放置され続けたから、逆に水が痛んでしまった可能性もあります。
まとめ……火のつく高濃度 水素水は、疑問の残る商品
火のつく高濃度 水素水は、紅茶やお茶のように水にパックを落とし込み、水素水を作ってしまおうというコンセプトのものです。7日間発生し続けるとチラシには書かれており、それが事実だとしたら、かなりコストは安くなります。とはいっても、水素水サーバーの1杯のコストより高いようです。水素水サーバーの場合、導入コストがそれ以上に高いため、一概に言えませんが……。
安ければ良いという観点であれば、選ぶことも考えられますが、飲用水としては、普通に製造された水素水を選びたいですね。その他の使い方としては、選択しても大丈夫なものもあるかもしれません。